大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

仙台地方裁判所 昭和30年(ワ)84号 判決 1957年3月05日

原告 佐藤国雄

被告 仙台市

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は全部原告の負担とする。

事実

原告訴訟代理人は、被告は原告に対し、別紙目録記載の土地所在仙台市立仙台高等学校校舎を収去して右土地を明け渡すべし。訴訟費用は被告の負損とする。との判決並びに仮執行の宣言を求める。と申し立て、

請求の原因として、

(一)、別紙目録記載の土地(以下本件土地と称す)は、もと訴外伊達宗基、同桐原知恩が各二分の一の持分を有する共有であつたところ、伊達宗基は大正六年一月二七日死亡し訴外伊達邦宗が家督相続し、大正一二年五月二七日同人の死亡により訴外伊達興宗が家督相続して順次宗基の持分権を承継取得し、昭和二二年七月二日同人の死亡によつてその妻訴外伊達鞠子が一八分の三、直系卑属である訴外伊達貞宗、同岩村登美子、同本間恵美子(以下鞠子外三名と略称する)の三名が各一八分の二の各持分権を遺産相続し、昭和三〇年一月二九日中間省略のうえ宗基から直接鞠子外三名に対し遺産相続による持分権移転登記を経由した。そして鞠子外三名は同日訴外協和木材株式会社に対し、その共有持分を売り渡し、同日その持分権移転登記を経た。更に同会社は、同年二月一日訴外庄子栄助に対し、右持分権を売り渡し、同日その持分権移転登記をした。

他方桐原知恩は昭和一三年一月一二日死亡し、訴外桐原正寿が家督相続によりその持分を承継取得(ただし未登記である)した。したがつて現在本件土地は、庄子栄助および桐原正寿が各二分の一の持分を有する共有地である。

(二)、ところで原告は、昭和三〇年二月一〇日共有者庄子栄助から、その持分を賃料坪当一ケ月金一〇円、毎月末日払、期間三年の約束で賃借し、翌一一日右賃借権の設定登記をした。そこで本件土地の使用を開始しようとしたところ、被告は、何等の権原もないのに、本件土地に立ち入り、同所に仙台市立仙台高等学校校舎(未登記建物)を建設所有し、もつて右土地を不法に占拠している。

よつて、原告は、ここに庄子栄助に代位して、同人の有する持分権に基き、被告に対し、右建物の収去、本件土地全部の明け渡しを求めるため、本訴請求に及んだものである。と述べ、

被告の抗弁事実を否認し、

被告主張の(二)の事実につき、元来共有関係における持分権は、権利自体抽象的に存在するものではなくして、常に「物」の存在を前提とし、「物」と密接不可分に結合し、その「物」に対する使用収益の権限の割合であるから、それを目的とする賃借権においても、共有持分によつて象徴された「物」自体を目的とし「持分権」なる権利自体を目的とするものではない。しかして原告は、本件土地につきその持分に応じた使用収益をなすべく前記賃借権を設定したものであるが、たまたま右土地が被告の不法占有下におかれていたため、右設定と土地の直接支配が一致しなかつたにすぎないから、被告の主張は当らない。

被告主張の(三)の事実につき、およそ信託法第一一条は、法律知識に乏しい三百代言人などがみだりに他人の権利の得喪変更を左右する訴訟に介在することのないようこれを防止した規定で、しかも信託行為は、他人の財産を他人の利益のためにその名においてするものであるが、本件において、原告は、専ら自己の利益のために前記賃借権を設定したものであり、当時本訴提起は夢想だにしなかつたのである。ところが右権利行使に当り、被告が本件土地を不法に占拠し原告の右権利の行使を妨害しているので、やむなく自己の権利を擁護するため自己の利益において自ら提訴するに至つたもので、何等右法条に抵触するものではない。仮に、原告の本訴提起が形式上右法条に当るとしても、本訴は、前述のように被告の不法行為を排除するための正当な権利行使にほかならないから、法律上正当行為として是認されるべきものであり、これをもつて実質上違法視するに足らない。

被告主張の(四)の事実につき、本件土地は、古くから伊達家の所有に属していたものであるが、明治四年大政官布告第四号「社寺朱印地除地等上知に関する件」に基き上知され一旦その所有権を失つたけれども、明治三一年に至り、伊達家の当主伊達宗基が家臣であつた訴外三品長直名義をもつて右土地の払下を受け、その際、祖先の霊を祭る満勝寺の住職であつた桐原知恩個人に対し、常日ごろの祭祀に対する謝礼として右土地の二分の一の持分権を贈与し、登記簿上は、宗基、知恩両名が共同買受人となつて直接三品長直から買い受けた旨の所有権移転登記をしたものである。このことは本件土地の現共有者桐原正寿自身も認めており「伊達家の申し入れがあれば何時でも右土地の分割手続に応ずる。」と言明していることによつても明らかである。

(三)、被告主張の(五)、(六)の事実につき、仮に、伊達宗基、桐原知恩の共有登記が主張のように通謀虚偽表示によるものであるとしても、伊達鞠子外三名の相続人はともかく、協和木材株式会社および庄子栄助は、いずれもその事実を知らず登記簿登載の事実を真実と信じて前記のように順次売渡を受けたものであるから、その虚偽表示をもつて、善意の第三者である協和木材株式会社および庄子栄助に対しその無効を主張することはできない。同じく伊達鞠子外三名の相続人と右会社間の売買並びにその登記が通謀虚偽表示に基くものであるとしても、前同様善意の第三者である庄子栄助に対しその無効をもつて対抗することはできない。

(四)、仮に、被告主張の満勝寺が共有持分権を有していたとしても、同寺は、被告主張の賃貸借契約をなすに当り、当時本件土地の共有者であつた伊達興宗の同意を得ることなく、同人に無断で、本件土地全部につき右契約を締結したものであるから、該契約は民法第二五一条に違反し無効である。

(五)、次に、補助参加人は本件土地を時効取得したと主張する。仮に、そのような事実が認められたとしても、右土地につきその旨の登記手続をしていない。したがつて伊達家の相続人である鞠子外三名に対してはともかく、同人らからその後前記のようにその共有持分を順次買受その旨持分権移転登記を了した第三者である協和木材株式会社および庄子栄助に対しては、その時効取得をもつて対抗することはできない。と述べ、

立証として、甲第一、二号証、第三号証の一、二、第四号証、第五号証の一ないし四、第六号証の一、二、三、第七号証(写)、第八、九号証の各一、二、三、第一〇、一一号証、第一二号証の一、二、第一三、一四、一五号証の各一、二、三、第一六号証の一、二、第一七号証、第一八号証の一ないし五、第一九、二〇号証の各一、二を提出し、第九号証の二記載の疏甲第七号証は本件における甲第七号証と同一書証であり、同号証の三記載の乙第一号証は本件の乙第一号証、同じく乙第四号証は本件の乙第四号証と同一書証である。と述べ、乙第一号証、第九、一〇号証、第一五号証の各成立は不知、第四号証の成立は否認する。その余の乙号各証の成立並びに第一一、一二、一四号証に関する被告の主張事実はいずれもこれを認め、第三号証を利益に援用した。

被告訴訟代理人は、原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負損とする。との判決を求め、

答弁として、原告主張の(一)の事実中、本件土地につき、伊達宗基、桐原知恩の共有登記並びに主張のような相続登記および各持分権移転登記が経由されていること。知恩が主張の日時に死亡し桐原正寿がこれを家督相続したことは認める。右土地の実体上の所有関係は否認する。同(二)の事実中、原告が右土地につき主張のような賃借権設定登記をしたこと。被告が右土地のうち八反二畝二歩を占有し、その部分に主張の建物を建設所有することは認める。その余の事実は否認する。

先ず、庄子栄助が主張のような持分権を有するとしても、原告の賃借権は、次の理由に基き無効であり、本訴は既にこの点において失当である。

(一)、原告は、本件土地を使用する具体的な目的も必要も全くなかつたのであるから、庄子栄助との間において、主張のような賃貸借契約が存在したものとは考えられない。したがつてその登記は仮装であり、そうでないとして、右契約は、両者相通じてなした虚偽の意思表示であるから無効である。

(二)、また、右賃貸借契約が有効であるとしても、土地の共有持分は「有体物」に非ざる法律上の権利にすぎないから、かかる「権利」のうえに「物」の使用収益を目的とする賃借権が成り立つことはあり得ない。しかるに原告の賃借権は、本件土地に対する庄子栄助の持分権自体をその目的とし、本件土地そのものを目的としたものではないから、目的物となり得ないものを目的としたものであつて無効である。

(三)、然らずとしても、原告主張の賃貸借契約は本件訴訟行為をすることを主たる目的として設定されたものであるから、信託法第一一条に違反し無効である。即ち、本件土地の大部分を占有する被告は、庄子栄助が本件土地の持分権を取得したと称する昭和三〇年二月ころから同人の妨害にあい、その占有を全うすることができなかつたので、同人を相手方として、同月九日当庁に立入禁止の仮処分を申請し、当庁昭和三〇年(ヨ)第三七号仮処分事件として係属、翌一〇日、被告は「相手方は被告の占有を妨害してはならない」旨の仮処分命令を得、同日これを執行した。ところが原告、庄子栄助は、右仮処分命令執行直後、右命令の拘束力を潜脱させるべく、新たに原告の名において本訴を提起することを目的として、主張のような賃貸借契約を締結するに至つたものである。このことは、常識では考えられない程の短期間内に主張のような各登記を経由し、しかもその登記に当つてはいずれも原告が事実上これに関与し推進せしめていたこと。しかも同人は、あるときは伊達家の代理人と称し、また、あるときは協和木材株式会社若しくは庄子栄助の代理人などと称して、訴外仙台市教育委員会に対し、その主張の持分を買取るよう強要していたことなどによつても明らかである。

次に、本件土地の所有関係につき、

(四)、本件土地は、古くは明治三一年一一月、補助参加人の前身である臨済宗満勝寺が、当時の檀信徒から、寺有財産とする目的のもとにこれが贈与を受け、その所有権を取得したものである。したがつて右土地は同寺の単独所有にかかり、伊達宗基は、実体法上何等の権利をも有しなかつたのであるから、その相続人鞠子外三名はもちろん原告主張の各人はいずれもその持有持分を取得するはずがない。故にその主張の各持分権取得登記はいずれも登記原因を欠く無効のものである。

しかしてその後満勝寺は、昭和二七年一二月四日宗教法人法所定の設立登記をし、本件土地を承継取得したから、右土地は現在補助参加人の単独所有に属するものである。

(五)、また、満勝寺は、右土地取得の際その登記手続をするに際し、右贈与財産の散逸を防止し寺有財産として永久的に保全する趣旨から、当時の住職であつた桐原知恩と、古くから同寺がぼだい寺として歴代の霊を祭る伊達家の当主伊達宗基と相謀り、右両名の共有である如くその登記名義を仮装したものである。したがつて右登記は通謀虚偽表示に基く無効のものである。

しかして伊達鞠子外三名の相続人は宗基の包括承継人であり、協和木材株式会社、庄子栄助らは右事実を知りながら、宗基の共有登記が存するのを奇貨として、あえて主張の取引関係に入つた悪意の第三者であるから、主張の持分権取得をもつて被告らに対抗することはできない。

(六)、次に、伊達鞠子外三名および協和木材株式会社、庄子栄助間において、真実その主張のような売買が順次行われた事実はなく単に登記簿上売買があつたように仮装したにすぎないから、その登記はいずれも実体上の原因を欠き無効である。

仮に、主張のような売買契約が存在したとしても、右契約は本件土地につき伊達宗基の共有登記があるのを奇貨として、鞠子外三名が協和木材株式会社と通じてなした虚偽の意思表示であり、庄子栄助は前述したと同じく悪意の第三者であるから、その持分権取得をもつて被告らに対抗し得ないものというべく更には、右会社、庄子栄助間の売買契約も前同様通謀による虚偽表示に基くものであるから無効であり、結局庄子栄助がその持分権を取得するわけがない。したがつて本件土地は補助参加人の単独所有に属するものである。

(七)、そこで被告は、仙台市立仙台高等学校校舎を建設する目的で、昭和二二年三月一日前述した満勝寺から、本件土地のうち八反二畝二歩を賃料坪当一ケ月金三〇円、期間の定めなく賃借し、同地上に右建物を建設所有し現在に至つたものであるから、不法占有者ではない。と述べ、

原告主張の(四)の事実を否認し、

立証として、乙第一ないし一五号証を提出し、第一一号証記載の乙第一号証は本件における乙第一号証、同じく乙第四号証は本件の乙第四号証と同一書証であり、第一二号証記載の乙第一、四号証は前同一であり、同じく乙第二号証は本件の乙第二号証と同一書証であり、第一四号証記載の乙第二号証は本件の甲第三号証、同じく甲第一号証は本件の乙第一号証、同じく甲第五号証は本件の乙第三号証と同一書証である。と述べ、証人庄子栄助の証言を援用し、甲第七号証(原本の存在は争わない)、第一一号証、第一八号証の一ないし五、第一九、二〇号証の各一、二の成立は不知、その余の甲号各証の成立並びに甲第九号証の二、三に関する原告の主張事実を認めた。

次に、補助参加人は、本件土地は元来補助参加人の所有であること被告主張のとおりであるが、仮に、そうでないとしても、満勝寺は、明治三一年一二月二七日以降現在に至るまで、右土地を自己の所有に属するものとして平穏かつ公然とその占有を続けて来たものであり、しかも右占有の始において善意無過失であつたから、右期日を起算日として一〇年若しくは二〇年の経過により、これを時効取得したものである。したがつて原告主張の伊達鞠子外三名のした相続登記および協和木材株式会社、庄子栄助の各持分権移転登記等は、いずれも右取得時効完成後のことに属するから、同人らはその取得をもつて補助参加人に対抗することはできない。と述べ、甲第九号証の一、二、三を利益に援用した。

理由

本件土地は、もと訴外桐原知恩、伊達宗基の共有名義に登記され、その後原告主張のような相続登記、持分権移転の各登記および賃借権設定登記を経たことについては当事者間に争いがない。しからば他に的確な反証のない本件においては右各登記に相符合する権利の得喪変動があつたものと推認するほかはない。

そこで被告主張の(一)の事実につき判断するに、被告の全立証をもつてしてもその事実を肯認するに足る証拠はない。したがつて右主張は理由がない。

次に、被告主張の(二)の事実につき判断するに、およそ賃借権は物の所有権の移転を受けることなくして物の使用収益を目的とするものであるから、少くとも使用収益に適するものでなければその目的物たり得ないものであるところ、土地の共有関係における持分権は被告主張のように法律上の「権利」それ自体ではなくして、「物」と不測不離の結合関係にあり、しかもそれは単独所有者の権利とその性質内容を同じくし、各共有者が共有地全部につき所有権を有し、ただ、他の共有者の同一の権利によつてその分量および範囲が減縮されているに過ぎないから、各共有者は共有地全部につきその持分に応じた使用収益を行うことができる。したがつて持分権者自ら該使用収益を行わず他人をしてこれをなさしめることもできるものというべく、しかして本件において原告主張の賃借権設定も、共有持分権により象徴される本件土地そのものを目的として設定されたものであること原告の主張自体に照し明らかであるから、これをもつて「持分権」自体をその目的としたものであるとする主張は当らない。

ところで被告が本件土地のうち八反二畝二歩を占有し同地上に原告主張の建物を建設所有していることは当事者間に争いがなく、そして成立に争いのない乙第一二、一四号証、真正に成立したものと認める乙第九、一〇号証によれば被告は昭和二二年三月一日当時の本件土地の管理人満勝寺から、右土地を坪当一ケ月金三〇円、期間の定めなく賃借し現在に至つたもので、共有者訴外桐原正寿はこれを承諾していた事実が認められる。そこで右賃借権の設定は、その持分を超過する本件土地のほとんど全部に及ぶものであること右認定に照し明らかであるから、実体法上共有物の利用行為に該当するものというべく、したがつてその設定に当り、特段の事情がない限り民法第二五二条所定の過半数の決議を必要とするところ、その決議を得たことについては被告の立証せざるところであり、しかも右決議を得ないことについて特段の事情があつたものとは認められない。そうすると右賃借権の設定は同法第二五二条に違反するものであるけれども、同条項は、共有における内部関係を規律するにとどまるから、その賃借権によつて自己の持分権を侵害される他の共有者は、該持分権に基き、その部分についての妨害排除請求権若しくはこれによつてこうむつた損害賠償請求権を取得するは格別、決議を得ないことの一事をもつて前記賃借権の設定を無効ならしめるものではない。

そうすると、本件土地上には相抵触する二つの賃借権が存在することになる。かかる場合賃借権相互間の対抗力の問題は別として、各賃借権はいずれも賃貸人たる各共有者に対する関係においては有効であるから、共有者の一人が、その持分権に基き、他の共有者の設定にかかる賃借権を無効ないしは共有物に対する不法な侵害として共有物全部についての妨害排除の訴求をなすには、賃貸人たる他の共有者と共同して若しくはその賃貸人および賃借人双方を共同被告としてこれを行わなければならない。そうでないと逆に他の共有者の有する賃貸人としての権利義務を侵害するおそれがあるからである。もつとも民法第二五二条但書によれば、共有物に関する保存行為は各共有者単独にこれを行うことができる、と規定するけれども、同条項は、共有財産の滅失、毀損を防ぎ現状を維持する如き行為は他の共有者に利益をもたらすを通例とするのみならず、その緊急を要することが多いために各共有者が単独に行うことができるとしたものであるから、他の共有者に不利益を与えるおそれがありまた緊急を要しないような行為は、この保存行為に該当しないものといわなければならない。しかして原告の本件土地明渡の請求が他の共有者の権利を侵害するおそれがあること前記のとおりであり、かつ、右明渡要求が緊急を要するものであることについては原告の立証をもつてもこれを肯認するに足らない。したがつて原告の本件請求をもつて右保存行為と目し難い。してみれば、原告が、共有者の一人であると自ら主張する桐原正寿と共同若しくは相手方とすることなく、賃借人被告のみを相手方として、庄子栄助の持分権に基き、共有物全部についての妨害排除の請求権を代位行使する本訴請求は既にこの点において失当である。

仮に、原告の本訴請求が庄子栄助の持分権についてのみのそれであるとしても、本件土地の共有関係は、右土地に対する使用区画を割当て事実上各共有者の専用区画を設けているのと異なり、単に分数的に持分の割合が定まつているにすぎないこと原告の主張に照し明らかである。してみれば現実に原告主張のような被告の妨害があり庄子栄助がその妨害排除請求権を有するとしても、該持分権に対する妨害が具体的に如何なる範囲、態様のものであるかを特定し得ないから、右請求権の内容もまた特定し得ないものというべく、したがつてこの点においても本訴は失当たるを免れない。

よつて、原告の本訴請求は、その余の判断をまつまでもなく、理由がないから失当としてこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条第九四条を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判官 中川毅 佐藤幸太郎 金子仙太郎)

目録

仙台市北八番丁一四九番の一

一、山林 八反六畝一九歩

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例